*7段*

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電話を切って店内に入ると、さっき迷惑そうにして「帰ろ」と言ったことなど忘れたように笑い声が聞こえてきた。 私が戻って来たのに気付くと「帰るよ」みたくドアを指さし椅子から降りた。 私はそれを無視してカウンターに戻った。 『ゆず、帰るぞ』 苛立った麻田さんの声。 『ボヘミアン下さい』 マスターに告げると困った顔をした。 麻田さんが「帰るぞ」と言ったきり立ったままだからだ。 『座ってよ』 前を向いたまま呟いた。
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