*8段*

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『あ…この辺で…』 タクシーが家の近くに到着したことに安堵した。 『ありがとうございます』 慌てて降りようとした私の手は佐伯さんに握られたまま 『佐伯さん…?』 『…ごめん…じゃ、おやすみ』 『はい。おやすみなさい』 --- ねぇ…佐伯さん。 いけないんですよね。 これ以上望んではダメなんですよね? でもね、佐伯さん。 私アナタの気持ち判ってしまいました。 きっと、どうすることもできないんでしょうね… アナタにも指輪は十分な重し。 絡めた指にアナタの指輪の感触 冷たいそれはしっかり私の指に、熱くなった心に伝わってきました。
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