貴方への階段

＊１０段＊

『違うの…あのね、可奈ちゃん。声に出さないでよ。麻田さんに聞かれたくないから…』

『何？聞かれたくない話って』

『だから、それも聞かれたくないんだって…筒井さんって知ってる？企画の筒井遥さん』

『！…彼女に何かされたの？』

可奈ちゃんは即答。それも何かされたの？って…。
知ってるんだね。

そうなんだ。

知らないのは私だけ…彼女の言った通りなんだ。

『知ってるんだ…
可奈ちゃん。言ってくれなきゃ…ごめん、ありがとうね』

それだけ言って電話を切った。