*1段*

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『失礼致します。』 多分、こんな時は営業用のスマイルを浮かべながら進むんだろうけど、カタカタなるお湯呑みが気になり手元を必死な顔で見詰めていた。 お客様の確認もできない。 『いらっしゃいませ…』 『お、新しい子?』 2人並んだ向こう側から声が聞こえる。 『です。でも営業じゃないんですよ』 お茶をテーブルに出した時、何気なく手前の人の手に目がいった。 綺麗な手 そして、指輪。 顔すら見ていないその人 結婚してるんだ。 そう思った。  
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