第一譚…さよなら

20/46
前へ
/520ページ
次へ
筋肉が悲鳴を上げるが、気合いで黙らせる。 水流が荒れ狂おうが関係ない。 「佐野、おまえは本当に良い奴だな。 …おまえと友達でよかったよ。」 「はぁ、はぁ。 てめぇ、なに、力抜いてやがんだ!」 「楽しかった。毎日が。 輝いてた。」 手の鎖がほつれ、緩む。 「だから、さ。 これからも、笑って生きろよ?」 何故だか、鮮明にニノの言葉が聞こえる。 「最後に一つ、そいつノラネコみたいだから、悪いけど、世話頼む。」 ニノの手が離れた。 「……………」 ニノが瞬間、囁いた。 俺の耳に、たしかに届いた。
/520ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加