プロローグ

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湯気の立つ白米、具の少ない味噌汁、大好きな魚の塩焼き、瓶に入った牛乳。 夢……。 幼稚園にいた時の食事。 友達も、先生も、自分もその給食を食べた。 幾度となく見た夢。 夢の終わりは知っている。 悲鳴がこだまして…、 「……!!」 おや、いつもと違うようだ。 誰かを呼ぶ声。 「…恭介!!」 呼ばれているのは自分の名前のようだ。 しかも見知った声である気がする。 「起きなさいってんでしょ…恭介(きょうすけ)!!」 声と同時に頬に痛み。 「いたっ!?つぅ!?」 さらに頭をどこかに打ち付けたらしい。 ものすごく痛い。 「馬鹿ね、狭い車内でそんなことするからよ?」 目の前にいる頬をひっぱたいたであろう張本人が呆れ顔で言った。 「自分の頬をひっぱたくやつに言われたくないよ空伽(くみか)」 本名、梦冢 (ゆめつか)空伽、友達であり、自分の所属する組織の同僚。 髪は淡黄色で、目はクリクリしてて可愛い…のだが、 「性格は最悪」 「喧嘩売ってんの?」
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