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そう言いながら特殊メイクの残骸をひらひらする。
「爺さんセットをお返しにくれてやったんだがな」
「いるか!」
そう言って立ち去ろうとする。
「あ、待て!私の名前は、嘘口ほらみと言うお隣りさんだ。仲良くな、若人」
「はいはい、よろしく嘘口さん」
はぁ仲良く出来る気がしないぞ。
「信じるとは、頭があれか?」
け、喧嘩売ってんのか?
「…木口さんか」
表札を見て言う。
「さよう、木口喜美(きぐち きみ)喜美様と呼ぶんだぞ若人」
喜美はえらっそうに胸をはり「下僕にしてやる」と呟いた。
「喜美だな、よろしく」
とりあえず無視した。
「若人明人よろしく」
「橋宮明人なんだが」
「分かっておるわ。腐れ貧困ダサ男」
ガチャ。素早く閉まるドアが太陽に反射して眩しい。って、け、喧嘩売ってる!
「とにかく」
まだ遣ることは、残ってる。
彼女のことで分かっているのは、名前がキっちゃん…あだ名か。
後俺の少しの記憶、この町に彼女が居るかも知れないと言う情報は、姉の情報で姉の友達の友達が彼女の両親の会話を偶然聞いたらしく
…彼女は、両親とあまり仲がよくなく名前まで変えてこの町に居るらしい。
俺が彼女の両親に彼女の事聞くのはおかしい、ストーカーに間違えられる事だろう。だから引っ越しなどと面倒な手段を取った。
「はぁ」
もう少し複雑な事情もあり俺は、事故に遭っており記憶をほとんど無くしている。
はっきり言って彼女の事以外忘れ居る。
自称親の事何だが………正直居心地も良くなかった。
色々な都合が合い引っ越しにいたった。
そして俺がもともと住んでいた所で事故に遭い………更に色々あり都会に引っ越した。
もともと住んでた所も田舎でそこで彼女に会ったと思う。
「ふぅ疲れた」
記憶は、曖昧でこの町で彼女に会っていたのかも知れない。
何にしてもわからない、思い出す気配もない。
「うお!」
いつしか辺りは、暗くなっている。
「もうこんな時間か」
腹減った。
「カップ麺でいいか」
家にはカップ麺をすする悲しい男がいた。
「さて、明日からバイトもあるし寝るとするか」
彼女との出会いは、走る俺を呼び止めたのが出会いだ。
交際する道路に出る少し前に呼び止められた。
その時、左側から結構なスピードで車が彼女の方を振り返る俺の後ろを通り抜けた。
その時、彼女に呼び止められなかったら死んでた、彼女に助けられたと思ったんだ。
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