ゴメン…もう迷わない

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「そろそろ着いてるころだわ」 雅は時計を見て呟く。 「仲直り出来てる…よね」 「出来てるわ」 夏波の心配をよそに断言する雅。 「喜美が明人の元に向かった所で保々仲直り決定」 雅は作業を続けながら呟く。 夏波からは雅の表情は見れないけどって無表情か… 「拗れてないよね」 「喜美を振って尚且つ話まで拗らせたら切符を贈るわ」 「え」 「地獄行きの」 「はは」 地獄行きの部分で雅の目がギラリと光る。 そんな雅を見て夏波は乾いた笑いをするしかなかった。 「もうすぐ出来るね」 夏波は泉美さんの差し入れおにぎりを食べながら呟く。 「念のためテストもしときたいわ」 雅はその重量100キロオーバーの鉄の塊を見て呟く。 「車でもぶつける?」 「ダメダメ!」 マンションメンバーに車の免許を持ってる人間は居ない。 泉美さんは分からないけど車なんてない。 つまり雅は一般人を巻き込むつもりなのだ(平気でする) 「二つあるわ屋上から落としてもう片方で受け止める さすがに看板もこの重さは超えないと思うわ」 物凄い騒音がするのだろう。 いやコンクリートが割れるかも知れない。 「屋上って…どうやって運ぶの」 夏波はずっしりとした塊を叩きながら雅を見る。 「…」 一方雅は夏波を凝視。 「嘘…よね」 夏波の切ない呟きに雅は首を振る。 「持ち運びの事も考えて作ったわ。 普通の人間より少し力が強ければ無問題」 この後夏波の怪力が伝説になったのであった。
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