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想像を遥かに超えた出来事だった。
喜依がそこにいる…
俺は軽いパニックを引き起こしていた。
「クミちゃん…」
喜依は違うと首を振り
「喜美ちゃんって呼んだ方がいいよね」
俺と喜美は何も言えないでいる。
ア然の更に上、そんな感じだ。
「喜美ちゃん、明人くんずっと待ってたよ」
な…んで?
気持ちが揺らぐ、喜依を抱きしめ再会を喜びたい。
でも喜美の存在が俺を押し止める。
俺は喜依の事でケジメをつけようと思っていた。
墓の前に立てば嫌でも現実を直視するこ………
「俺が居るかぎり喜依を忘れる事は出来ないよ」
な!
また現実を疑うような出来事が起きた。
「お…れ?」
喜依の隣に俺が立っていた。
「分身の術使えるようになってるよ」
「ぁ?…え…は」
喜美も喜依もこの事態を全く飲み込めていない。
喜依が居る…それだけでパニックを起こしていると言うのに…
「ああ、俺はお前、俺の過去…過去の記憶」
続く沈黙を破るように
俺?が話し出す。
「俺は喜依が好きだ、それは消えない」
俺?の言葉に頬を赤くする喜依。
「俺は…」
「俺は喜依が好きだ」
俺の言葉を遮るように俺はそう言った。
「う~ん、嬉しいけど複雑だよ」
泉美さんとはまた別のホンワカと抜けた感じの少女は紛れもなく喜依だ。
ならコイツは誰だ?
俺?
俺なのか?
「そして俺は今でも自分を憎んでいる」
「あれは不幸の事故だよ」
喜依はフォローを入れるが俺?は聞いていない。
「お前は喜美が好きなのだろ?」
ニヤッと嫌な笑みを浮かべて俺は俺を見てくる。
「え?」
「え…」
驚き声を出したのは俺だけじゃなく喜美も俺?の言葉に驚き、俺と俺?の間を視線で行き来する。
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