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「あ」
そうだ…これは指輪だ。
俺は喜美の肩を突く。
「?何だ」
喜美が俺の突いた指に反応し振り向く。
「これ」
そしてそれを喜美の指にはめた。
「……っ
大切…に…するっ」
喜美はサイズの合わない玩具の指輪を大切そうに抱え込む。
「喜美…」
俺はそんな喜美の姿がとても愛おしく思えた。
「もう、迷わないから」
「何を…言っておるっ
迷うのが当然であろう」
俺がふと漏らしてしまった言葉に喜美は反応する。
そんな事言われたら俺の誓いはどうなるんだ…
「どうせ誓いを立てるなら
………
わ、私を幸せにするで
ど、どうだっ」
顔を真っ赤にして喜美は恥ずかしい台詞をいう。
迷ってばっかりなんだ…俺は…でも
「そうだな」
結局の所誓いは喜美の為俺の為のモノなんだ。
だから二人にとってベストが一番いい。
「…私は…まだ姉さんを認めてなかったのだな」
明人は離れた所にいる。
今は喜美と喜依の一対一の話合だ。
「ううん」
喜依は迷わず首を振る。
「喜美ちゃんが認めて無いのは自分だよ」
喜依の指摘にはっとする喜美。
明人が喜依の姿と重なるって言ったのは仕方の無い事だった。
喜美は喜依になろうとしていた節があったのだから…
喜依を認めていないのじゃなく喜美…クミを認めていなかったのだ。
だから名前も捨て喜依を避け…喜依の存在を認めれなかった。
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