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「交渉の結果半分だけついて行くことになった」
そう言い明人が喜美の後ろから現れ喜依の手をとった。
「俺の大切な気持ちで思い出だからな。
だから半分だけ一緒に行く」
「あう…」
喜依と一緒に消え始めた明人に喜依は少し戸惑いながらも微笑むだけで何も言わなかった。
分かる…怖がりだからな、喜依は…安心したんだろう。
「明人…?
明人っ!」
喜美は明人が消え始めていることに気付いた。
色んな思いが交差しながらも一番の思いは
消えて欲しくない
それだけだった。
「大丈夫だ」
そんな喜美を俺は後ろから捕まえる。
「なぁ喜依、今日さ俺達に助けられたって人にあった」
消え始めている俺はそういい喜依の顔を正面から捕らえる。
「え」
「感謝された。
今まで感謝される事なんてなかったのにな」
消えかけた俺は空を見上げる。
釣られて俺、喜依、喜美の順で空を見上げる。
「誰にも気付かれずにずっと人を守り続けてるオゾン層みたいだよな俺達」
誰にも気付かれず紫外線から人を守り続けてるオゾン層
誰にも感謝なんかされない
俺達は絶えず運命と言うなの紫外線から人を守り続けたオゾン層みたいなものかも知れない。
規模は遥かに小さいけど…
「うん、似てるよ」
そして二人とも始めからそこに居なかったように跡形もなく
雲がいつの間にか消えてしまうように
もう居なくなっていた。
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