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「今度全員2階に集まろうと思っておったのだ。ちょうどよい」
「貴重な男で」
マンションは、2階建てって事は、二人は下か。
「?男でってまさか俺が手伝うのか」
「大家も客をデカイマンションに引き抜かれ色々融通が利くのだよ」
「仲良しこよしでくらしましょ」
雅はそういい、ふふっと笑った。
「出来たよ」
「おぉ」
オムライスに味噌汁。
「でもこんな時期に引っ越して来るなんて珍しいね。学生でもなさそうだし」
夏波は、そう言いながら座る。
「この町で一暴れしたい」
雅がそう言う。
「暴走族じゃ無いからな」
「都会より犯罪行為が行いやすい」
今度は喜美が頷きながら言う。
「何で都会から来たって知ってんだ」
「………予言の書に乗っておる」
あっそ
「夢追いかけてるわけ」
「別に」
「だよね。それなら田舎から都会か」
「夢から挫折した哀れな人間」
「………誰の事だか」
「高卒ってやつだな」
「いや、1年で辞めた」
「とんだ不良男だな」
記憶喪失になったのが1年。
言葉は覚えて居るんだが、意味が分からないのもある。
映像面もすっぽり抜け落ちた。
言わずとも分かるが勉強がさっぱりで無理だと判断で辞めた。
「まぁいわゆる記憶喪失で勉強なんかやってる場合じゃ無かったんだ」
「………嘘?」
夏波が驚き目を見開いた後ぽつりとそう言う。
「って、事は今もまだ思い出してないの?」
「そうなる」
「……若いのに災難だったな。夏波の料理は、上手いな」
喜美は、もぐもぐオムライスを食べ進める。
「確かに上手いな」
「若人のくせに生意気な事を言う」
「…お前の方が若いだろ!」
「まさか馬鹿までついちゃうなんて男として失格だわ」
「うるせぇ」
「明日時間空いてるはずだな」
喜美はさも当然のように言う。
「空いてない」
決めてかかるので反抗してみる俺。
「じゃあ待っておれ、昼・夕ともに飯を作ってやる………夏波が」
「ただじゃないからね」
「って無視」
「じゃあね」
皆が帰って行く。町回りたかったのに…
家族だと言った。
でも、俺には実感が無い、他人だ。馴染めなかった
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