魔法

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これを機会に私達は、度々実家に訪れるようになった。両親はいつも亮を大歓迎で、私はついでのような扱いだった。 父親は晩酌の相手が出来たと大喜びで、母親は夕食を用意するのが楽しみだと、二人共息子のように亮を可愛がっていた。 酔った亮は度々口調が戻ってしまっていたが、父親はそれすら可愛いらしく……亮をからかっては笑っていた。 仲良くなってくれたのは嬉しい事だけど……私より亮ばかりと話をしたがる両親に、私は少し拗ねていた。 どっちが本当の子供か分からないじゃない…… 「杏?」 一人キッチンで拗ねていると、父親がお酒を取りに来たらしく私に気付いて声を掛けてきた。 「畠山君はいい男だな。あの人なら杏を幸せにしてくれるはずだから、黙って着いて行きなさい」 酔って上機嫌な父親はそう言うと、私の背中をポンと叩いた。 「お父さんは亮の事どうして許したの?」 ずっと不思議だった魔法の話を、もしかしたら父親がしてくれるのではないかと私は期待した。 「畠山君は色々苦労したみたいだからな……おっと、これは男同士の秘密だから杏には言えないよ。すまないな」 嬉しそうに笑う父親に、私はそれ以上尋ねられなかった。 亮はどんな魔法を使ったんだろう?
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