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「杏、大丈夫!わたし今日も魔法使ってるから、安心していいわよ」
「また魔法?」
亮はウインクすると、私の手を取って廊下を歩いた。
魔法?再び?
亮の予想外の発言に、私の緊張は先程より少し緩んでいた。
「上条さん、初めまして、亮の父です。息子に話は聞いてましたが、想像以上に素敵な方だ。亮には勿体ないな!」
そう言って優しそうなお父様は、私に手を差し出した。慌てて私も手を差し出す。
「上条です。宜しくお願い致します」
手から伝わる温もりは、亮の温かさと似ていて…私は安堵した。
「兄貴は?」
亮は部屋を見渡すと、そうお母様に聞いた。
「少し遅れるけど、来るそうよ」
………お兄様!
亮に兄弟が居るなんて聞いてない!
ちらっと亮を見ると、悪戯っ子のように笑ってる。
…また私の反応見て面白がってる!
ちょっと腹立たしかったので、私はわざと平静を装った。ここで慌てたら、亮の思う壷だ。
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