魔法

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『もっとお話したいんだが、午後から仕事が有るんだよ…今度は是非夕食を一緒にね!』とお父様は名残惜しそうに私に言ってくれた。 途中、ちょっと困った場面も有ったが…自分なりには上手くやれたのではないかと安心していた。 「杏ちゃんは、亮の男好き知ってるの?」 帰り間際の廊下で、私は腕を毅さんにいきなり掴まれた。 「はい…一応」 杏ちゃんって…軽っ! しかも弟の事を、男好きって言い方はどうなんですか? 「なんだ知ってるんだ。 じゃあ自分が、亮のカモフラージュの道具にされてるとか考えないの?」 意地悪に笑う毅さんの表情は、本当に亮にそっくりだったが… 目が笑ってなくて私は正直怖かった。 「考えた事有りませんよ。亮さんの事信じてますから」 そう答える私の中に、不思議と動揺は無かった。 不安な時期は、確かにゲイの亮が何故私を選んだのか?と考えた時も有った。 でも今は 亮は私を愛してくれている。 素直にそう信じる事が私を強くした。
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