魔法

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「お兄さんが居るなんて聞いてないよ!それに何で口調が男じゃないの!何で急に今日挨拶なの?私だって心の準備が…」 帰り道、私は亮を睨みながら今日一日の不満をぶつけていた。 「あら?退屈な毎日に、サプライズって必要でしょ?いい緊張感持てたじゃないの」 亮はこの状況が楽しくて仕方ないらしく、家を出てから何度も思い出し笑いをしている。 私は言葉で怒りをぶつける代わりに、繋いでいる亮の手を強く握り締めてやった。 「いっ痛い!止めなさいよ!本当に杏は乱暴なんだから…」 「私がいつ乱暴したって言うのよ!そもそも亮が、ちゃんと説明してくれないのが悪いでしょう」 「はいはい!悪かったわよ。これで満足?」 「…………」 私はわざと返事もせず、無言で歩き続けた。 たまには私が怒ってるのを感じて、亮も慌てて欲しくて。 「杏?」 無視、無視。 「杏ってば!」 知らないから!
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