千個の嘘よりもたった一つの真実を

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「分かりました」 それだけを言って私は静かに電話を切る。ツーツーと耳に響く音が私と彼の終りを報せているような気がした。 私との情事のときは決して外すことのなかったそれを、彼女とのときは外している。 そう考えると私と彼女の差は歴然としているように感じた。 ふっと頭をよぎる。 彼を彼女に返してあげなければ、と。 もう自分と彼女だけの問題ではなくなってしまったのだ、と。
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