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三谷の友情
『良いか!優祐!映画館なんて定番なやり方は変更だ!』
突然何を言い出すのやら。
『じゃあ、何をやるんだよ?』
『俺にもっと良い考えがある。』遼はニヤリと微笑んだ。
『え~!?10日後の町内会ソフトボール大会に出るだって?』
『ただ出るんじゃない、優勝するんだ!』
『でも俺運動は苦手なんだけど。』
『メンバーは俺と優祐で集めるぞ。ちゃんとお目当ての女の子誘っとけよ!』
『聞いてないし…』
10日しかないのに、いきなり優勝なんて…
『じゃあ、早速スカウトにはいる!今日中にメンバーあと7人、俺が3人誘うから、優祐4人誘っとけよ!あ、マイ様は俺が誘うから!とにかく女の子だ!』
そう言って、三谷は学園の方へ走っていった。
うーん…誰誘うかな~。
マオちゃん誘いたいけど、緊張するなあ。
黒木さんは、流石に遼に誘わせないと。マイ様って言ってたしな。
そうだ!アイツなら…!
僕は、ケータイを手に取り、電話をかけた。
『なによ、あんたから電話なんて!』アズサが出た。
この前のカラオケの時に番号を交換していてよかった。
『唐突だが、アズサ、お前ソフトボールやらないか?』
『何でよ!』
『町内会のソフトボールで優勝するには、お前の力が必要なんだ!』
『あたしが…必要…??』
『そう、アズサが必要なんだ!』
『そ、そうなんだ…あたしが必要なんだ…わかった、やるわ!』
やはり単純、扱いやすい。よしっ、最後の仕上げだ。
『何人か知り合いでそこそこ動けそうな奴いない?』
『バスケ部の後輩で良いなら、2人いるわ。優勝の為に出てもらうわよ!』
アズサは燃えている。
『じゃ、じゃあ、頼みます。』
『任せなさい!』
ツーツーツー…
2人って言ってたな。あと1人どうしよ…あてが外れた。
僕は、背中に夕陽を受けながら家に帰っていた。
家の前に着いた。
隣には、朝倉家がある。
ああ、どうしよう…
だ、だが、僕以外にマオちゃんは誘えないんだ!
僕は一大決心して、朝倉家のインターホンを押した。
ピンポーン…ガチャッ。
『あら、有馬君じゃないの。いらっしゃい。』
マオちゃんのお母さんだ。
『あ、お久しぶりです。マオちゃんは…』
『いま、呼んでくるね。』
タッタッタ…ドテッ!
『いたたた…あっ、ゆうすけ~。いらっしゃ~い。ここじゃなんだしぃ、家に上がってぇ。』
『え、あ、はい。』
まじかよ~!!僕の心臓はもうはちきれそうだ。
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