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マオちゃんの部屋だ。
右手にアニメに出てくるキャラクターのぬいぐるみや、人形!
左手には、大量の漫画と雑誌が置いてある。
そして、天井にはカッコいい男キャラクターのポスターが貼ってある。
そしてこの前カラオケで聴いたような、電波ソングがBGM代わりに流れている。
…異空間だな。
『ゆうすけもねぇ、アニメで、良いの1作品見れば理解できるよぉ。試しにこれ観ようよぉ?ねっ?』
『い、いや、でも…』
『絶対面白いからぁ。』
僕は、渋々みてみた。
ひょうきんな主人公と、いつもムカついているヒロインとその周りのゆかいな仲間達が繰り出す学園物のストーリーだ。
何時間たっただろう…10話くらい観たかな?最終回が終わった。
『これ、面白いね~。』僕の本音だ。
『でしょ~、今すごく流行ってるんだよぉ。』自慢げに語るマオちゃん。
アニメも悪くないのかもしれない。だが、僕は自分のやるべきことを忘れていない。
『朝倉さん、ものは相談なんだけど…』
『なあにぃ?』
『えと、10日後にやる、町内会のソフトボールに出て欲しいんだ。』
『まお、自信無いなぁ。ゆうすけは出るの?』
『うん、一応。』
『まおに出て欲しいのぉ?』
うわっ、答えずらい重たい質問だな。
『…で、出て欲しいんだ。』
『うふふっ、理由は分からないけどぉ、暇だし、いいよぉ。』
『ホント?ありがとう!』僕は頭を下げた。
『ねぇねぇ、これも見てみてぇ。今日はもう遅いから、貸してあげるねぇ。』
『あ、ありがとう。』
僕は貸してくれたDVDを片手に家に帰った。
といっても隣だから、ほんの数秒間だが。
僕は自分の部屋に戻って目を閉じて、今までの流れを回想してみた。
僕はマオちゃんの家にいって、アニメを一緒に観て、ソフトボールに出るって約束してくれて家に帰った。
今までで1番長くマオちゃんと一緒にいた気がする。
嬉し過ぎて涙が出てくる。
ふとケータイを手に取ると、着信が入っていた。三谷遼だ。
僕はあわててコールした。
『悪い、気づかなかった。』
『良いってことよ。こっちは戦力重視で、野球部の一年生レギュラー2人を用意したぞ!』
『すごいな。僕も戦力考えて、アズサとその後輩でなんとか…って感じだ。』
『おお、宝城か!あいつは使えるぞ!で、朝倉はどうだった?』
『なんとか大丈夫だったよ。』
『さすが優祐!』
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