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縦横の全長が200mあるエレガント学園名物、超巨大体育館で、入学式が始まった。
中年太りの学年主任:『新入生入場!』
会場全体にワアッと拍手喝采が沸き起こる。
僕もどんな新入生が入ってくるのかドキドキしている。
まさに、手に汗握る感覚だな。
A組が入場してきた。
1クラス10人編成で1学年10クラス。
エレガント学園は、少人数教育がウリなのだ。
んっ…?
A組の黒髪のロングヘアーの女の子…
なんだか悲しそうな顔をしていたな。
何か訳ありなのかな?
『っ!?』
突然右足に電撃が走った。
僕は恐る恐る右足に視線を集中させる。
すると、なんと隣に座っていたクラスメートの上履きが、僕の上履きの上に乗っていたではないか!
『い、痛いんだけど…』
『なに、新入生にデレデレしてるのよ!このエロガッパ!』
『な、なんて奴だ… 』
『フンッ!』
たしかこいつは、【宝城アズサ】
人当たりの悪い性格で、何かにつけて僕にウルサい女の子だ。
身長は、僕より少し小さいくらい。
運動神経抜群で、バスケ部の二年生エースとして大活躍している。
はっきりいってそれくらいのことしか解らない。
とにかく僕に対して厳しい人間だということは確かだ。
ま、まあ確かにバスケやってる時の姿はカッコいいけど…
そんなことを考えているうちに、新入生は全員入場し終わってしまったようだ。
【キザな三年生のボーカル】:
『みんな~!乗ってるか~い!』
ウォオ~!!と会場全体に爆音が流れる!
毎年恒例、三年生主催の新入生歓迎ライブが始まった。
マオちゃんの友達桜井さん:『マオも行こうよ!』
『うん。』
マオちゃん達はボーカルに向かって歩きはじめた。
僕も席を立ち、ボーカルに近づいていく。
もちろん僕のお目当てはボーカルなんかじゃないんだが…
『ああ…マオちゃん…』
マオちゃんの歌を聴いている姿を見ているだけで僕は幸せになれるよ…
自分自身を少し情けなく思いつつも、マオちゃんに熱視線を浴びせた僕。
なぜか僕の隣で歌を聴いていたアズサのことなどお構いなし!
僕にはマオちゃん、君しか見えない!
マオちゃんは、ライブに喜んでいるようだ。
その時、A組のあの女の子が独り体育館を去る姿を僕は見てしまった。
『あっ…あの娘は…』
僕はいつの間にか彼女の姿を追って走っていた。
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