25人が本棚に入れています
本棚に追加
ゴポ…
真っ白い部屋
何もない部屋
私の目は見えない
閉じられているから
ただ、何かいる
動く物の影が通る
光はない
『……ま、…いち…え……』
誰の声?
水音が波紋を作って振動するように微かに耳に残る
ゴポ…と私はただ、泡を吐いた。
私を包んでいる生あたたかいもの
これは…水?
どんどんと水は抜けていく。
広がった髪は顔に張り付いた。
気持ち悪い…
頭が 耳が 首が 腕が 脚が動きだす。
…目は開くのか。
私は、そっと、本当にそっと瞼を上げた。
一番最初に見えたもの
それは『光』
真っ白 まぶしい
そして、ガラスに映った分厚いチューブが何本も伸びる。
行き着く先は、私の腕、脚、胴体、腰、頭。
私の体に繋がっているようだ。
ポタリポタリ、
チューブや私の体を伝い水滴が足元に落ちる。
ここはどこだろう
私は誰?
幼い姿の自分。
『やぁ…起きたかい?』
…誰?
周りに白い服を着た沢山の人。
私を見てる。
言葉を紡ごうと口を開けようとするも音が出ない。
ヒューヒューと風が吹いたような息づかいが聞こえるだけ。
私に最初に話しかけた男は私を見て頷いた。
話せない事を分かっていたようだ。
『まだ話せないみたいだね。とりあえず、カプセルから出そう』
カプセル?
私が入っているのはカプセルの中みたいだ。
男の言葉に、画面を見ながらパソコンを弄っていた人が頷いて操作し始めた。
プシュ、シューーー
白い煙が立ち、カプセルが花開くように開く。
チューブが自動で離れていった。
私はバランスを崩して崩れ落ちそうになった。
誰かが支える。
フカフカしたタオルで丸めこまれ、立たされた。
視界がクリアになってきた。
最初のコメントを投稿しよう!