オレンジ

2/8
前へ
/8ページ
次へ
「跡部ー!好き!!」 「ぉう。」 1年以上前からこのやりとりの繰り返し。 何度言っても相手にしてくれない。まぁ多分告り方がダメなんだろう。 「はー……」 「何やねんさっきからため息ついて。まわりにきのこが見えよるで?」 ん?それはどーいうイミかしら?ジメジメしてるってイミかしら。 私はそんな忍足を軽くスルーする。 「卒業の季節ですね」 「……そーですね。」 忍足と、傍に居たがっくんが答える。 「わー、アルタみたいー」 「ってアホか。」 さすが忍足。 関西人はちがうなどとがっくんと感想を述べたらしばかれた。 「で、なんでそんな湿度高いんだ??」 「お前湿度なんて言葉知っとったんかい。」 「おー、こないだ覚えた」 ……大丈夫か受験生!! 「いやー、私も卒業しようかなと。」 「何から?」 忍足が聞いてくる。 がっくんは私なんかそっちのけで新発売のポッキーにぞっこん。 「んー……恋、かな。」 私は微笑んだが、それは苦笑にしかならなかった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加