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「はあ……本当、何にもないわね」
「別にいいじゃないか。毎日騒がしいのも捨てがたいがな」
博霊霊夢(はくれいれいむ)と霧雨魔理沙(きりさめまりさ)は、博霊神社の居間で二人並び、茶を啜りながら、呑気に会話をしていた。
「私は宴会が出来ればいいんだけどねー」
「萃香、あの天人崩れのところには行かないの?」
居間から続く縁側に、消えた鬼の一人、伊吹 萃香(いぶきすいか)は、酒が入った瓢箪を片手に、ゴロゴロとしている。
「ああ、あそこはほぼ毎日宴会気分だけど、肴が桃しかないからね」
「あっそ」
パリンと、醤油味の小さな煎餅を囓り、霊夢は湯飲みに入った茶を、また啜る。
ただ、そんな風に退屈にしていても、霊夢は思うのだ。
この幻想郷が、いつまでも平和であることを。
たまの異変は別に構わない。私が解決すればいいことだと理解しているからだ。
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