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「御乗車ありがとうございます。まもなく上野に到着いたします。」
車内アナウンスにはっとする…
もう上野…
あわてて岡田さんを見ると笑いながらこっちを見ていた。
「お…おはよう…」
恥ずかしい…
「爆睡してたな。ヨダレたらしながら…イビキかいて…」
えっ!!
やだ…
あわてて鏡を見る。
「またひっかかってんの。ば~か嘘だよ。」
耳まで真っ赤になる。
「もうすぐ東京だぞ。支度しないと。」
別れの時がやってきた…
「楽しかったね…」
うまく言葉が出てこない…
「あぁ…」
別れ際はやっぱりもの悲しい…
「約束…破ったらはりせんぼんだからね。」
子供みたいに小指を立てる…
「約束だよ。」
岡田さんははにかみながら小指を立てる…
指切りをしていると新幹線は東京駅に滑り込んだ。
新幹線の改札口までいつもよりゆっくり歩く。
もうすぐこの旅行のラストシーンだ…
「気をつけて帰れよ。まだ遠いんだから…」
地元までまだかなり距離がある…
「うん…ついたら電話するね。」
早く同じ家に帰れるようになりたいな…
「じゃあ…またな…」
改札口…
別れを惜しみながら手を振る…
私は右に…
岡田さんは左に…
それぞれの思いを秘め家路についた。
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