28人が本棚に入れています
本棚に追加
睨みつけてきたかと思えば顔を真っ赤にして怒り、すぐさま慌てたような顔に変わる。百面相でもしているかのようにころころとかわるそれに、たまらず笑みがこぼれた。
一度外れたたがは引くことがなく、魔王は口をあけて笑った。
こんなに笑ったのは初めてかもしれない、そう思わせるほどに、笑いがこみあげる。
なぜ笑われているかわからない少年は、すっかり戦意を喪失したようできょとんとそれを見つめていた。
それが、少年――リオとの出会いだった。
リオは、近くの村に住む子供だった。魔王はそれ以外の情報を知らない。
ただ魔王の、明らかに人間とは違った外見に恐怖を覚え、襲いかかってきたそう。
よく襲いかかるなど無謀な事を出来たものだと関心する。
同じ魔族であっても恐怖を覚えさせるその存在。魔王に刃物を向けたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!