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 睨みつけてきたかと思えば顔を真っ赤にして怒り、すぐさま慌てたような顔に変わる。百面相でもしているかのようにころころとかわるそれに、たまらず笑みがこぼれた。  一度外れたたがは引くことがなく、魔王は口をあけて笑った。  こんなに笑ったのは初めてかもしれない、そう思わせるほどに、笑いがこみあげる。  なぜ笑われているかわからない少年は、すっかり戦意を喪失したようできょとんとそれを見つめていた。  それが、少年――リオとの出会いだった。  リオは、近くの村に住む子供だった。魔王はそれ以外の情報を知らない。  ただ魔王の、明らかに人間とは違った外見に恐怖を覚え、襲いかかってきたそう。  よく襲いかかるなど無謀な事を出来たものだと関心する。  同じ魔族であっても恐怖を覚えさせるその存在。魔王に刃物を向けたのだから。
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