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 しかしリオは、魔王の外見に関しての恐怖は抱いたものの、魔王そのものを恐れる風ではなかった。  まったく、鈍感というのかなんというのか、かなり図太い神経をしているのだろうか。  しかしそれは嬉しくもあった。  対等な存在。  リオは、魔王にとって初めて出来た"友人"であった。  毎日夜になれば、泉で落ち合い話をした。  穏やかな時が流れ、月が真上にあがる頃に、リオは魔王の腕の中で舟を漕ぎ出す。まったく、無防備にも程がある。初めは戸惑いを覚えた魔王も、今では慣れたものだ。眠くて目を擦ったり、意識を飛ばしそうになった頃、他の者に気づかれないよう森の入り口まで送り届けた。  楽しかった。  それは、自分の仕事を忘れてしまうほどに。  ――しかし、そんな蜜のような時は長くは続かなかった。  また、争いが起きたのだ。  人間達はなんて馬鹿なのだろうか。  なぜ争うのだろう。  そう思わずにはいられなかった。
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