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「魔王様…」
後ろから控えめな声がかかった。
「わかっている」
魔王は答え、腕の中の子を揺すり起こす。
「リオ…起きてくれ」
揺すられたリオは、目を擦りながら魔王を見上げる。
「ん…?ユキ、帰る?」
ぼんやりと魔王を見つめるリオは、魔王に向かってユキと呟く。
「ああ、送る」
ユキ――そう呼ばれた魔王は、大して気にした様子もなく答える。リオは、不便だから、といった理由で名を持たない魔王に名を与えた。
それに、どんな意味があるとも知らずに。
――リオをいつもの森の入り口まで送り届けると、魔王はゼダについて争いの起きている場所へ向かった。
狩りが、始まる。
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