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「ねぇ…気づいてた?」  何を、とは聞かなかった。  気づいていなかったといえば嘘になるだろう。しかし、確証を持っていたわけではなかった。 「気づいてなかったんだ?」  無言でいたことを、気づかなかったと解釈したのか、彼、リオは自嘲気味に笑った。 「僕はね、全部わかってたよ。こうなるだろうってことも…」  首を絞める手に今より強い力を込めれば、相手は苦悶の表情を浮かべる。  ――ゾクリとした。こんな表情を見て興奮する自分に嫌気がさす。 「拾われた時からずっと…いつかこんな日がくると思ってた。…でも、僕はこうなることを願ってたのかもしれないね」  締め付ける手を払いのけようと爪を立てても、リオの手は締まる一方だった。  人間ごときに自分が屈するなど、おかしな話だ。普段の彼ならこんな力、簡単に払いのけられただろう。しかし、何かがおかしかった。  溢れるような力を感じない。
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