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 生まれたときから持っていたその力。魔王の力を。 「な…に「何をしたかって?」  すべての言葉をいい終える前に、リオがその言葉を引き継ぐ。 「簡単だよ。だって君は認めたじゃない?」  ねっ?ユキ…と耳元に顔を近づけ囁く。 「ふ…くっ………」  名が、全身を支配する。自分の体ではなくなってしまったかのような感覚に苛まれ、強い不快感を覚えた。  魔王は身をよじり、その感覚を拒絶する。しかし、それはうまくはいかなかった。 思うように動かない体に悪態をつく。  その様子を至極楽しそうに見つめながら、リオは、魔王のソレにゆっくりと顔を近づけた。  すべては彼が、この日のために計画してきたこと。  人間にとっての長い長い月日を重ね、いまやっと実行できるのだった。
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