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――燃え盛る炎は辺り一体を赤く照らす。 血を吸った地面は赤黒く濡れそぼり、不気味な印象を与えた。  広がる荒野には彼以外立っている者はいない。  倒れ伏した者達にはすでに命の灯火などなく"モノ"とかしていた。そしてそこには数え切れないほどの"モノ"が転がっている。  そんな光景を無表情に見つめながら、彼は口元に手を添える。  咽せかえるような生臭さに顔をしかめながらも、その全てを脳裏に焼き付けるように一望した。  彼は決して、命を軽んじてこのような行為をしている訳ではない。  世界の均衡を保つためには必要不可欠であり、また、それが彼の役割であったから。
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