【12】死闘

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ラブの声は、間に合わなかった。 ボブの巨漢が、大山の上に落ちた。 『ドドーーンッ!!』 地響きが伝わる。 大山のあばらが砕かれ、肺に突き刺さる。 ラブの体が闘技場へと跳んだ。 『パーンッ!!』 着地と同時に放った回し蹴りが、ボブの顔面にめり込む。 たまらず、巨漢が退いた。 『大山さん!』 ラブが大山の大きな体を抱き起こす。 『ガハッ!!』 肺からの大量の出血に、大山がむせる。 『大山さん、ゆっくり息をして!』 ラブの呼びかけには、もはや応じられなかった。 呼吸できない大山の顔に、ラブの顔がかぶさる。 気道に溜まった血を、自分の口で必死に吸い出すラブ。 その処置のおかげで、ドクターが駆けつけた時には、大山の状態は何とか持ち直していた。 彼の手が、血だらけのラブの口元に触れる。 その手を両手で包み、頬に当てるラブ。 『ラブさん・・・すまない。・・・棄権してくれ・・・。あなたが戦う必要は・・・ない。』 『ばか!!何のためにここへ来たのよ!お兄さんのカタキを取るんでしょ。』 『もう・・・いいんだ。忘れて・・・ください。』 『ふざけないで!!こんなの見せられて、忘れられるわけないじゃない!』 ラブの涙が、大山の頬に跳ねる。 フっと微笑んで、大山は意識を失った。 『彼を・・・よろしくお願いします・・・。』 ドクターに告げるラブの拳が震える。 ラブの背後に、ボブの巨漢が立つ。 『しぶとい奴だ。さっさとくたばれば・・・・・』 そのボブの言葉が途絶える。 ラブの拳が、巨漢の腹に肘までめり込んでいた。 『グアッ!!』 味わったことのない苦痛に、ボブの顔が歪む。 『それ以上、口を開くな!!』 「ヒュン!」 ラブの体が巨漢を回り込む様に舞う。 目視では捕らえられない程のスピードで回転した体から、大きくしなった脚が伸びる。 『ガシンッ!!』 ボブの延髄に、ラブのかかとが叩きつけられた。 「ズダーン!!」 たったの2発で、巨漢が、闘技場の床に沈んだ。 さっきまでの惨事に、静まり返っていた場内に大きな歓声が戻る。 『ラブ~!そいつもヤッツケろー!!』 「パン、パン、パンッ。」 闘技場の端に、マイク・レイズの長身が、拍手をしながら現れた。
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