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ラブの声は、間に合わなかった。
ボブの巨漢が、大山の上に落ちた。
『ドドーーンッ!!』
地響きが伝わる。
大山のあばらが砕かれ、肺に突き刺さる。
ラブの体が闘技場へと跳んだ。
『パーンッ!!』
着地と同時に放った回し蹴りが、ボブの顔面にめり込む。
たまらず、巨漢が退いた。
『大山さん!』
ラブが大山の大きな体を抱き起こす。
『ガハッ!!』
肺からの大量の出血に、大山がむせる。
『大山さん、ゆっくり息をして!』
ラブの呼びかけには、もはや応じられなかった。
呼吸できない大山の顔に、ラブの顔がかぶさる。
気道に溜まった血を、自分の口で必死に吸い出すラブ。
その処置のおかげで、ドクターが駆けつけた時には、大山の状態は何とか持ち直していた。
彼の手が、血だらけのラブの口元に触れる。
その手を両手で包み、頬に当てるラブ。
『ラブさん・・・すまない。・・・棄権してくれ・・・。あなたが戦う必要は・・・ない。』
『ばか!!何のためにここへ来たのよ!お兄さんのカタキを取るんでしょ。』
『もう・・・いいんだ。忘れて・・・ください。』
『ふざけないで!!こんなの見せられて、忘れられるわけないじゃない!』
ラブの涙が、大山の頬に跳ねる。
フっと微笑んで、大山は意識を失った。
『彼を・・・よろしくお願いします・・・。』
ドクターに告げるラブの拳が震える。
ラブの背後に、ボブの巨漢が立つ。
『しぶとい奴だ。さっさとくたばれば・・・・・』
そのボブの言葉が途絶える。
ラブの拳が、巨漢の腹に肘までめり込んでいた。
『グアッ!!』
味わったことのない苦痛に、ボブの顔が歪む。
『それ以上、口を開くな!!』
「ヒュン!」
ラブの体が巨漢を回り込む様に舞う。
目視では捕らえられない程のスピードで回転した体から、大きくしなった脚が伸びる。
『ガシンッ!!』
ボブの延髄に、ラブのかかとが叩きつけられた。
「ズダーン!!」
たったの2発で、巨漢が、闘技場の床に沈んだ。
さっきまでの惨事に、静まり返っていた場内に大きな歓声が戻る。
『ラブ~!そいつもヤッツケろー!!』
「パン、パン、パンッ。」
闘技場の端に、マイク・レイズの長身が、拍手をしながら現れた。
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