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【14】エピローグ
~新宿の高級スナック~
『ずいぶんと派手なことをやっちまったな、ラブ。』
『やっちまったよぅ・・・はぁ~。』
『なんだか・・・今年は大変な年だわ。この夏でさえ、乗り越える自信がなくなってきた。』
『いつものことじゃねぇか。まぁ、あんまり無茶すんなよな。』
『あら?心配ィ?』
わざと鬼島に擦り寄る。
『あたりめぇじゃねぇか。俺はお前に命預けたんだぜ、俺より先に逝かれちゃかなわねぇ。』
ラブは、こんなに愛してくれる仲間がいることを、本当に幸せに思っていた。
『疲れたわ・・・。組長、ちょっと胸借りるね。』
その大きな胸に顔をうずめて、涙を隠した。
アイの声が聞こえるまでの30分間、鬼島は店の全員を追い出し、ただそっと、ラブの小さな肩を抱きしめていた。
(ラブ、ティークが戻りました。例のミサイル基地も何とか治まったようです。ただ・・・少し問題が・・・。)
(わかったわ。)
『鬼島さん。ごめんなさい、おかげで少し落ち着いたわ・・・って!寝てんのかよっ!!』
夕べの試合を見ていた鬼島は、興奮覚めやらず、部下を無理やりつき合わせ、徹夜で飲んでいたのであった。
サッ!とラブが席を立つ。
崩れかかった鬼島が目を覚ました。『ラ・・・ラブ、あれ?』
「ヒュン!!」
『うわっ!』
振り向きざま、ラブの素脚が、鬼島の鼻先5mmに伸びて止まった。
『ラブ、パンツが見えちまうぞ。』
『大丈夫だよ。はいてないから!!』
『それは残念なことをしちまった。怖くて目をつぶっちまったぜ。』
例えナイフが飛んできても、目を閉じない男が、目を閉じていた。
『な~んだ!ほんのお礼に、せっかくサービスしてあげたのにィ。』
『もう一度、やってくれねぇか?』
『ば~か、冗談よ。自分に気合入れただけ! あ、そうそう! お台場ではありがとうね。』
何度やっても、彼が目を閉じることは分かっていた。
バカがつくほどの立派な紳士である。
『んん? さて、何のことかな・・・。』
鬼島が優しく笑う。
『んじゃ!またね。組長も気をつけてね、西の方が最近怪しいから。バイバイ。』
表にでると、店員を含め、荷物もそのままに追い出された客たちが待っていた。
『あっちゃ~! ごめんなさい。今日は組長のおごりだから、楽しんでいって!。お疲れ様ぁ。』
そう言って、迎えにきた車に乗ったラブは、次の舞台へと、向かうのである。
~エピソード3~ 完。
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