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【2】メイの危機
~高知空港~
『良介さん、色々ありがとうございました。』
空港まで車で送ってくれた彼に別れを告げ、メイは搭乗ゲートへ向かう。
その向こう側、VIP専用通路から、ものものしい警護をつけた鷲崎首相が現れ、ちょうど、メイを妨げる形となった。
『ちょ、ちょっと!何よ、ゾロゾロと横入りするんじゃないわよ!待ちなさいよ。』
「権力」というものが生理的に気に入らないメイである。
とりあえず、一番近い男の襟元を掴んだ。
が、次の瞬間、3倍の数の男に取り押さえられてしまった。
目の前に銃が突きつけられる。
『えっ!えぇぇぇ~!!嘘でしょ?ちょっとタンマ~!!』
その声に、鷲崎が気付いた。
『メイか? メイじゃないか!おい、彼女を放さんか!』
『おっちゃん・・・。』
ラブと親しい鷲崎は、時々ラブのもとを訪ねていた。
首相になる前のある朝のこと。
鷲崎の秘書が、メイの前に立った。
『鷲崎がトーイ様にお会いしたいと・・・』
寝癖がうまく修正できず、イラついていたメイは、この時点で既にキレた。
(会いたいなら、自分の口で言いやがれっつぅの!)
秘書の後ろに立つ鷲崎をチラっと見て、
『「トーイ様」は、今日も朝からすっごく忙しいと思います。番号札をお持ちしましょうか?』
秘書が予想外の顔をしてたじろぐ。
その後ろから、
『メイさんだね?』
笑いをこらえながら、鷲崎が近づく。
『子供じゃあるまいし、自分の口で喋れ!ってところかな?ハハ。ラブから君のことは良く聞いてるよ。』
鷲崎の優しい笑顔は、メイの機嫌を一発で治めた。
『失礼した。実は、今日はラブに重要なお願いがあってきたのだ。事前に連絡はしてある。受付で16スタジオにいると聞いたのだが・・・通してくれないかね?』
もう断る理由はなかった。
『ちょ、ちょっとお待ちを。』
何も動じてない振りをして、メイは16スタジオへ入る。
ラブは着替えの真っ最中であった。
またセットで寝てしまったのである。
『ラブ、変なおっちゃんが会いたいって、表にいるよ。』
『ああ、鷲崎さんね。』
『そうそう、確かそんな感じ。・・・どっかで聞いた様な・・・?』
『記憶力いいメイが何?しっかりしてよ。もうすぐ首相になる「おっちゃん」よ!』
(オー!マイガー!)
・・・それ依頼、鷲崎は「おっちゃん」であった。
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