ある日一日=クラスメイトと教師たち

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誰もいない教室に、オレンジの光があふれている。 オルグは一番窓際の机の上に座っていた。 「…。」 何をする訳でもなく、ただぼーっと外を見ている。 「あ!オルグ、まだいたんだ。」 ちょうど、廊下を通ったリムが、教室に入ってきた。 「なぁ、もう帰る?一緒に帰んない?」 近づいていくと、オルグはゆっくりと振り返った。 繊細な金色の髪は夕日の光を通して光り輝いている。 そのおかげで、蒼い瞳はいつもより深く見える。 「リム…。」 なんだか、そのまま消えてしまいそうだ。 手を伸ばすと、触れることができた。 「?!!」 全身に電撃がはしった。 オルグが、胸によっ掛かってきたのだ。 長いまつげは動かない。 目を閉じているのだ。 あばばばばばば…。 頭が揺れるくらい鼓動が跳ね上がる。 おっ、落ち着けオレ!! オルグに聞こえるから!! 寝てるのか? だったら動かないほうがいいのか? どうしようもなくただただ固まっていた。 「疲れた…。」 起きてたーッ?! オルグがいきなり話しだした。 どうやら、休憩のようなものだったらしい。 だが、リムの胸からはどこうとしない。 …? 「…疲れたの!」 なんだか意地になっているような言い方だ。 なんで? 当のオルグは頭をぐりぐりと押し付けてから、机を降りてしまった。 「…帰ろ。」 「え?」 意外な言葉に、戸惑っていると、 「一緒に帰るんじゃないの?!」 怒鳴られてしまった。 「あ、うん!帰る帰る!」 そういって、二人で玄関へと向かった。
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