OB=入るときはまず職員室に挨拶を。

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逃げたい。 激しく身体が拒絶しているので、オルグは席をたとうとした。 が。 「あぁ!待って!」 強い力で腕が動かなくなる。 掴まれているのだ。 嫌だ。 振り返りたくない。 振り返ったら負けだ。 「ねぇ、君、名前は?」 「…教えない。」 突き放すように答える。 腕が更に引かれる。 「どうして?」 悲しそうな声が耳に響く。 怖い。 オルグは背中に寒気を感じた。 「…ねぇ。」 「?!」 視界がぶれて、バランスが崩れる。 そして、自分より太い腕が素早く巻き付いてきた。 なんだこいつ…! 「ねぇ、せめて名前だけでいいんだ。教えて?」 潰されそうなほどでもない力なのに、身動きがとれない。 駄目だ。 僕の負けだ。 オルグは、嫌そうなため息をひとつついて、振り返った。 「…お前は?」 その言葉を聞いて、彼は嬉しそうに微笑んだ。 「あ、教えてくれるの?」 「教えてやるから、はなせ。」 「逃げない?」 「うるさいな!逃げない!」 そういって、緩んだ彼の腕を乱暴にはらう。 彼は人懐っこく笑った。 「オレはサード!君は?」 「僕はオルグ…。」 彼はそれを聞いて頷くと 「なっ?!」 「よろしくね!オルグ!」 勢いよく抱きついて、またクラスを騒然とさせたのだった。
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