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帰りは二人っきりだった。
うるさいOBは妹のレイに引っ張られていった。
あんなことがあった矢先、二人っきりで帰るなんてシチュエーションは、心臓に悪い。
なんていえばいいかな…?
リムは汗だくの手を軽く拭きながら必死に考えていた。
オルグは相変わらず不機嫌そうだ。
こっちを見てもくれない。
これはまずい。
「…オルグ?」
「何。」
冷たい声がかえってくる。話は続かない。
黙ったまま、二人は歩く。
夕日は綺麗だった。
いつもと変わらなかった。
話がないのもだいたいはいつも通り。
でも、やはり何かいつもと違うのは。
オルグの雰囲気が違うからだ。
そう考えると、オルグはいつも黙っていながらも、そこそこ機嫌はよかったのだろう。
多分。
やっと少しだけ、近づいていたのに。
リムはいつも通りの夕日を恨むようにため息をついた。
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