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素敵です。
艶やかな黒髪、知的な眼鏡、そして、真っ直ぐな視線とシルエット。
ミステリアスな雰囲気。
そう。
言うなれば、彼は侍。
「…朝っぱらから何してんの、ダニ。」
「!」
まるで安っぽい恋愛ドラマの主人公のように、校門にしがみついて顔を出している白髪の肩を叩く。
何してんだ、こいつ。
その人物は困った顔で振り向いた。
「だ、ダニって言わないでくださいよ~。」
女の子のような顔の彼は、一応先輩のダニエルである。
誰かを見ていたようだ。
「…何見てたんだ?」
「へっ?!」
ダニエルはあほみたいな声を出した。
あわあわとしてから、オルグの顔を見て、最終的に諦めたように笑った。
うるさいなぁこいつ。
「あのですね…。」
そっと耳打ちをする。
「じむちょーさんです。」
…。
うん。
べつに聞かなくてもよかった。
「僕、あんな人になりたいんです!あんな事務になりたいんですよ~!」
「無理だろ。」
きっぱりといい切れる。
だって、性格からもう間に合わないじゃん。
「無理じゃないです~!こうやって、じむちょーさんを観察していれば、きっと何かわかるはずです!」
何その根拠。
そんな根拠が生まれる根拠を教えてください。
「とにかく!」
ダニエルは気合い十分に宣言した。
「僕はじむちょーさんに憧れてるんです!」
…どっちの憧れですか。
朝から、なんだか帰りたくなった。
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