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「うえーん!」
「な、泣くなよダニエル~。」
「…うるさいんだけど。」
昼休みの屋上に、盛大な泣き声が響く。
三人で、弁当を食べていたのだが、ダニエルが始めからこの調子なのだ。
オルグが迷惑そうに睨みつけるなか、ダニエルは泣きつづけた。
「ふぇえ、だってぇ負けちゃったんですよ~。」
そうなのだ。
彼は、さっきの時間、一世一代のじゃんけんに負けてしまったのである。
オルグは、相変わらず苛立った口調でいう。
「んなことでいちいち泣くな!うるさいから。」
その突き刺すような言葉に、ダニエルはさらに涙を流す。
完全にオルグがキレそうなので、リムは二人の間に入った。
「で、でもさぁ、べつに掃除じゃなくても、自分で会いに行けばいいじゃん。」
「…行ってもいいと思います?」
少し泣きやんで、ダニエルが尋ねると、オルグものってきた。
「いいんじゃねぇの?べつに減るもんじゃなし。」
「そうですよね!」
オルグの少し優しい言葉に、ダニエルは立ち上がった。
オルグはまたもそもそと弁当を食べはじめたので、リムもほっとして自分の弁当に手を伸ばした。
がし。
ん?
「…何、ダニ。早く行ってこいよ。」
「ダニって言わないでください。」
「え?なんでオレも…?」
ダニエルは可憐に微笑んだ。
「みんなで行きましょう!」
結果、ダニエルはオルグに屋上のはじからはじまで殴り飛ばされた。
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