憧れ=loveと尊敬は紙一重?

5/8
前へ
/127ページ
次へ
結局一人になってしまいました。 適当にガムテでももらってこいだなんて、酷いですよ。ちょっとくらいついて来てくれたっていいじゃないですか。 日本人の彼に合わせた、洋風な校舎にたった一つの引き戸。 これを横にずらすだけで、彼と話すことができる。 なんてたやすい動作。 「…。」 でも、何故か手をかけるのをためらってしまう。 やっぱり、今度本当に用事があるときにきましょうか。 でも、今行かないとあの掃除の女の子に先を越されてしまいますし…。 まだじむちょーと仲がいいという生徒は聞いたことがない。 最初に仲良くなったほうが、きっと一番に親密になれるはずだ、というのがダニエルの考えである。 しばらく扉の前で迷っていた。 今日はやめようかな、と思ったその時。 ガラッ! 「え?!」 「うわっ、なんですあなた!」 たくさんの資料を抱えて本人が出てきた。 ダニエルは思いもしない出来事にパニックになり、とりあえず邪魔にならないようにどこうとした。 が。 「ちょっと!いまあなた暇ですか?暇なら手伝いなさい!」 「へ?」 さらに予想外の展開に、呆然としていると、 「あほみたいな顔してないで、はい!これ、お願いしますよ!」 と、彼の抱えていた資料を渡された。 「え?!あ、これ、どこに持って行けば…。」 「ついて来なさい!」 そういって、また新たな資料を抱えて彼は歩き出した。 「あ!ま、待ってくださいよ~!」 ダニエルは資料を抱えて彼を追いかけた。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加