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結局一人になってしまいました。
適当にガムテでももらってこいだなんて、酷いですよ。ちょっとくらいついて来てくれたっていいじゃないですか。
日本人の彼に合わせた、洋風な校舎にたった一つの引き戸。
これを横にずらすだけで、彼と話すことができる。
なんてたやすい動作。
「…。」
でも、何故か手をかけるのをためらってしまう。
やっぱり、今度本当に用事があるときにきましょうか。
でも、今行かないとあの掃除の女の子に先を越されてしまいますし…。
まだじむちょーと仲がいいという生徒は聞いたことがない。
最初に仲良くなったほうが、きっと一番に親密になれるはずだ、というのがダニエルの考えである。
しばらく扉の前で迷っていた。
今日はやめようかな、と思ったその時。
ガラッ!
「え?!」
「うわっ、なんですあなた!」
たくさんの資料を抱えて本人が出てきた。
ダニエルは思いもしない出来事にパニックになり、とりあえず邪魔にならないようにどこうとした。
が。
「ちょっと!いまあなた暇ですか?暇なら手伝いなさい!」
「へ?」
さらに予想外の展開に、呆然としていると、
「あほみたいな顔してないで、はい!これ、お願いしますよ!」
と、彼の抱えていた資料を渡された。
「え?!あ、これ、どこに持って行けば…。」
「ついて来なさい!」
そういって、また新たな資料を抱えて彼は歩き出した。
「あ!ま、待ってくださいよ~!」
ダニエルは資料を抱えて彼を追いかけた。
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