92人が本棚に入れています
本棚に追加
「…貴方、成績は?」
資料を揃えながら、四音がダニエルに尋ねた。
ダニエルは不思議に思ったが、条件反射か普通に答えてしまった。
「えと、だいたい学年一位ですけど。」
ダニエルは見た目以上に頭がいい。
四音はその答えに少し微笑んだ。
「なら、授業は少しくらいサボっても問題無いですね。」
「…え?」
意外そうなダニエルの顔をみないで、彼は小さい声でつぶやいた。
「…少しくらいなら面倒みてあげます。修行しに来なさい。」
…。
それって…!
「授業サボってじむちょーさんのところにこいってことですか?!」
「サボるのではありません。」
軽く顔をしかめて、たちなおす。
「私の手伝いをしてもらいます。仕事をするのですから、授業と同じです。」
その顔は、いつもの厳しい顔に戻っていた。
だが、ダニエルにそんなことは関係ない。
「僕一人のためにですか?本当ですか?」
早くも目をきらめかせて、四音に詰め寄る。
「え、ちょっとまちなさ…!」
「やったぁー!!」
ダニエルは、喜びのあまり抱き着いた。
「いいんですねいいんですねいいんですねぇ~!」
「ちょっやっ、やめっ…!がはっ」
ぐりぐりと頭を四音の胸に押し付けている。
予想外の力の強さに、四音は身動きをとれずに苦しむしかなかった。
「やめなさいっ!授業の邪魔になるでしょうがっ!」
「えっ?授業始まってるの知ってたんですか?」
その言葉で時間が止まる。四音は気まずそうな顔で目を逸らした。
あれ?
聞いちゃ駄目でしたか?
「…やはり、一応教師ですから、授業を無視するのは駄目かと思いまして、知らないふりしようと思ったのですが…ばれては仕方ないですね。」
苦笑いして立ち上がった。
ダニエルにも手を貸して、立ち上がらせる。
「さて、まだ時間も余ってますし、もう少し手伝いなさい。」
そういって、もう一度微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!