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「おはようございまーす!」
「…おはようございますオルグちゃんリムさん…。」
朝。
学園に来たら何故かダニエルと死にかけたような四音が挨拶してきた。
四音は静かにこっちに歩み寄ってきて、耳打ちした。
「貴方たち、この子どうにかしなさい!このままでは身体も心も持ちません!」
…。
何があった。
思わず三人揃って問題児を振り返る。
その顔は輝かしいほどに満面の笑みだった。
彼は嬉しそうに昨日のことを語りだしてくれた。
「えへへぇ、昨日じむちょーさんの家にお泊りだったんですよ~!」
四音の顔からさらに生気が抜けていく。
話はこうだ。
昨日の放課後。
ルンルンのダニエルは、早速事務室へと行った。
そこには今まさに帰ろうとしている四音がいた。
「じむちょーさん!ちょっとお話したいですけど、いいですか?」
「?何故です?」
不思議そうな顔で四音が尋ねると、ダニエルは恥ずかしげも無く答えた。
「僕もーっとじむちょーさんと仲良くなりたいんです!」
「なっ…?!」
混乱状態の四音など気にもかけず、ダニエルはスタートした。
好きなもの好きな色好きな食べ物嫌いなもの嫌いな食べ物普段の生活よく見るテレビ―。
外が暗くなり始めても話をやめようとしない。
そしてついに。
「もぅ帰りましょう!」
四音はギブアップした。
このままでは夜が明ける勢いだ。
だが、ダニエルはその言葉で涙目になった。
「でも…僕まだまだ知りたいことが…。」
四音は焦った。
泣かれては困る。
どうしたものか。
そんなことを考えても、汗でまみれた脳みそはろくな答えを出してくれない。
「じゃあ続きは家で聞きますから!」
この一言が四音を地獄へといざなったのであった。
…ご愁傷様。
四音からもうダニエルははらえない。
頑張ってください。
「ちょっと、あ、貴方たちこの子をなんとかしてくだ…!」
天使のような悪魔。
それに捕まってしまった人は、もう二度と逃げられないのだ。
オルグとリムは何事もなかったかのようにいつも通り教室へと向かった。
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