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が、とりあえず名前は聞けたので、いいや。
「お前、家どっち?」
嫌そうに指された方向は、自分と同じだった。
「じゃあ、一緒に帰ろうぜ。」
「え、じゃあこっち。」
すごく嫌そうな顔で反対方向を指した。
「何それ?!ひどっ?!」
いいから一緒に帰ろうぜ~、と、オルグを引っ張ったとき、何故か殴られなかったのが不思議だった。
「なぁ、オルグ。」
「…。」
「シカトすんな!」
会話は続きそうにない。
沈黙は苦手なんだよなぁ…。
結局、別れるまでずっと黙ったままだった。
明日は、話してくれるだろうか…。
そんな諦めの悪いことを考えては、消そうと足掻いた。
…朝から変なものをみた。
オルグが、絡まれている。
ん?なんでだ?
よくよくみると、そのガラの悪い集団の後ろに、ボスっぽく昨日の男がいた。
なるほど。
昨日フラれた腹いせか。
それにしても、大人数だ。さすがにあの人数相手は無理だろう。
…。
「卑怯だね。」
「それ、負けるときの台詞だぜ?」
綺麗に悪役なそいつの顔を鋭く睨んでみる。
少し相手の何人かは後ずさった。
が、さすがに今の自分には、殺気だけで人は殺せない。
くそ。
「このままオレの彼女になっても良いんだぜ?」
憎たらしい顔が誘う。
オルグは負けないくらい憎たらしく笑ってやった。
「やだね。へどが出る。」
「ふん!その強がり、いつまで持つかな!」
一斉に飛び掛かってくる人、人、人。
やれるだけ、抵抗しておくか。
オルグは構えた。
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