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私が就職したのは、街中の小さな診療所。
まだ開院して3年目という比較的新しいクリニックだった。
スタッフは、常勤の医師2名と心理士2名、受付2名と、私の計7人。
こぢんまりとしてアットホームな、良いクリニックだ。
このクリニックでPSW(精神科ソーシャルワーカー)を採用したのは初めてだということで、初めのうちは仕事がほとんどなかった。
医師達も、この職種をどう使おうかと考えあぐねているようだった。
私は、元々あった空き部屋を面接室として与えてもらっていたのだが、そこに籠もっていても何も始まらない。
私は考えた末、受付を手伝いながらクリニックの『流れ』を学ぶことにした。
受付には、私だけでなく心理士さんもよく出入りしている。
やはり、患者さんがクリニックに入って来てからの、最初の表情が見られるというのが重要な事らしい。
『今日はこの患者さんは調子が良さそうだな』とか、
『少し落ち込んでいるようだな』というのがわかれば、その日の面接の進め方も違ってくるというわけだ。
あと待合室での様子も見逃せない。
面接では見せない、素の表情が垣間見れることがあるからだ。
私はそれをきいて、院内での患者さんの様子にできるだけ気を配ってみることにした。
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