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待て待て待て、悲観している場合じゃないぞ。俺よ、考えるんだ、生きるために考えろ。
『十代のうちに死ぬのなんてまっぴらごめん被りたい!!』
そもそも奴が俺を殺したがる理由はなんだ?
下校途中に襲われなくちゃあならない理由はなんだ?
面識もないサラリーマン男に殺されかけているのは何故なんだ……。
とうとう死に物狂いで走り続けることに限界を感じ始めた俺は、決死の覚悟で叫んだ。
カラカラの喉から声をひりだすと、あまりの激痛に血が吹き出るんじゃないかと思った。
「……何が目的なんだ、畜生、」
実際には白い息が吐き出た。
「俺を殺す前に、教えてくれよ!」
すると背後に迫る足音がぱたりと止んだ。理解に苦しい現状に答えを求めて、間合いをとったのち俺も停止する。
――何かの罠か?
夕陽は赤の気色を増して、アスファルトをじりじりと焼いていた。
一拍おいて、全身から汗が噴き出す。
振り返った先に見えたのはとんでもなく予想外の光景。
嘘だろ?
俺はあまりの衝撃に、金魚みたいに口をパクパクさせるしかなかった。
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