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ゼロスが助かるようにと龍族は祈り続けていた。
今も危険な状態で誰もが嫌な予感がしてならない。
『‥‥っン』
「ゼロス!?
気がついたのか!」
身体中が痛くて熱くて顔を歪める。
「ゼロス…」
『‥‥俺がいるから父さんは不幸なの?
俺が、不幸に…させてるなら』
「バカを言うな。
おまえがいるから、幸せなんだ。
今は身体を治すことだけ考えてくれ」
優しく頭をなでられ、涙が溢れた。
『…母さんが助けてくれたんだ』
「えっ?」
『まだ、こっちに来てはいけないって。
父さんを悲しませたらいけないって。
そしたら…父さんの呼ぶ声が聞こえた』
「ゼロス、無事でよかった…」
『悲しませて、ごめんなさい…
ただ悲しくて辛くて力が抑えられなかった‥‥』
「分かっている。
もうよい、いいんだ。
…ゼロスが無事ならそれでいい」
甘えるようにゼロスは父親にすり寄った。
『寂しかったんだ…
まだ子供でごめん。
俺は、心が幼稚なままなんだ…』
「まだ甘えていいんだ、ゼロス。
我儘も言ってくれ」
今なら本音が言えそうな気がした。
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