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季節は5月になり、グラウンドの桜も、もうまばらにしか花が咲いていない。
もう少し経てば、鮮やかな緑が映える光景になるのだろう。
私立天蓋(てんがい)高等学校。大輔が通っている学校だ。
生徒数は350人と、少子化が叫ばれる昨今に置いては結構な在学数ではある。
生徒の自主性を重んじ、校訓は『多種多様な人生を』だ。曖昧過ぎると生徒の中では不評のようだが。
グラウンドでは、体育の授業だろうか。男子生徒がサッカーをしている。しかし、肝心の先生の姿は見えない。
これがこの学校が人気のある理由かもしれない。要は
悪い事さえしなければ、ある程度は自由に振る舞えるのだ。
私服も許されてはいるが、大抵の生徒は学ランを着用している。女子はブレザーだ。
私服を着て来る生徒は、目立ちたがりかもしくは所謂不良しかいない。
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