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(くだらない‥‥。何が七不思議だよ)
大輔は声に出さずに、そう断じた。いい歳した高校生にもなって馬鹿らしい‥‥。
「いや、そう馬鹿にしたものでもない」
不意に後ろから声がし、大輔は驚いて後ろを振り返ってしまった。勢いがついていたのか、椅子がガタンッと音を立てて倒れる。
大輔の後ろの席には、お世辞にも明るいとは言えない暗そうな少年が座っている。
前髪は長く、目を殆ど隠すまでに伸びている。何処をどう見ても筋肉質とは言い難いが、身長は大輔より少し大きい。
彼の名前は八神京介だ。八神は無表情のまま、大輔の顔を見ている。
「おい、今なんて‥‥?」
言ったんだ?と問い掛ける前に、教壇にいる教師から声が上がる。
「おい氏木、どうしたんだ?まぁちょうど良いや。この問題お前答えろ」
当然授業を聞いていない大輔には、問題が何処かすらわかっていない。
恨めしい心持ちで八神を盗み見ると、八神は頬杖をつきながらそしらぬ顔で、窓から外を眺めていた。
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