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裕佳梨「ごめんごめん珍獣扱いしたことは謝るわ、だから怒らないで、ねっ?
ところで京介はそういう霊能者の修行みたいなのはしたこと無いわよね?」
京介「ああ、したことは無いが?」
裕佳梨「だよね~
・・・そういうことなら迂闊に断絶された時空に触れさせられないわね・・・
しょうがない、あまりやりたくないけど、これも仕事っと!」
そう言いつつ裕佳梨は大鎌を振り上げると
- ブォン!
断絶された時空を切り裂いた。
京介「な!?そんな事してだいじょうぶなのかよ!?」
裕佳梨「うん、この鎌で切られれば除霊されたのと一緒で、まもなく成仏できるわ」
京介「それってさ、俺は必要無くないか?」
京介の問いに裕佳梨はあっさりと
裕佳梨「うん」
京介「だったら最初から一人でやれ!俺を巻き込む必要なかっただろ!?」
ここで裕佳梨は目を伏せながら話し始めた。
裕佳梨「・・・人はね、交通事故であろうと、殺害されようと普通はすぐに成仏して永遠に休むの、それが普通・・・
でも中には成仏しない・・・いや、できないくらいの強い想いを持ってしまう人もいる、そんな人達の想いをこの鎌は切り裂くことができるの、私にはその想いを理解する事は出来ないけど、能力者がいれば何かがわかる、私はほんの少しで良いからその人達の何かをわかってあげたい、それが無理やり成仏させる事に対するほんの少しの償い・・・と、私は思ってる・・・
だからここに来る前も私はまず能力者を探したの」
そして裕佳梨は京介のほうに振り向いた。
裕佳梨「そして私はこの町で京介に出会えた、死者の痛みすら体現できると言われる体現者に無理はさせれないけど、少し・・ほんの少しでいいから私の手伝いをしてくれないかしら?」
そこまで黙って聞いていた京介は静かに手を差し出した。
京介「・・・少しで良いなら手伝ってやるよ」
裕佳梨は差し出された手を握り、つぶやいた。
裕佳梨「ありがとう・・・」
こうして京介は死神と出会ったのだ。
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