人肌

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ごめんって謝って、それだけでいいはずなのに・・・。 久々に私の休日と彼の早番が重なって・・・。 ご飯は食べに行こうって・・・。 だから、ずっとどこにも出かけずに、ご飯も食べないで待ってたのに・・・。 「謝って抱きしめるとかぐらい、しなさいよ。」 小さな小さな淡い願望。 連絡取れなくて、不安でしょうがなかった。 もし、事故ってたら。 もし、何か事件に巻き込まれたら。 今の時代、何が起きるか分からない・・・。 だからこそ、不安で不安で。 それで、謝ってくれた彼に八つ当たり・・・。 私、最悪じゃん。 涙と雨で、体も心も冷え切ってしまった。 家までまだあるのに・・・。 こりゃ、風邪ひいたな。 自業自得か。 見上げる空に、一つの仕切りが出来た。 「ごめんね。」 そして、冷えていた体に温もりを覚えた。 「遅い。」 嗚呼、また悪態をついてしまう。 「うん、ごめんね。」 抱きしめる力を強める君。 心も温まるように。 人肌って、こんなに暖かいんだ。 「ごめんなさい。」 素直な私の気持ち。 「謝らないで、ごめんね。」 君こそ謝らないでよ。 私が惨めでしょ? ねえ、神様。 私を愛してくれるのは、この人ですか? 神様は、ずっと私たちを愛してくれますか? 私は、彼を愛しています。
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