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春…桜の季節
「鈴ねぇ~!おっと!!」
ダンボール箱の塔がヒョイと障害物を避ける
「ちょっと慶次!前見えなくなるくらい積んだら危ないでしょ」
「だって一個ずつ運んだら時間かかるだろ?」
ヨイショとダンボール箱を下ろすと弟の上半身が顔を出す
「そんな事いって怪我なんかしたら、余計時間かかるでしょう?面倒くさくてもね~…」
「~っ」
「ん?」
「鈴姉っ!俺の事そんなに心配なんだ!!」
「はぁ?!」
あんたが怪我したら誰が力仕事すんのよ!
本当にガタイだけはいい、いいんだけど…この性格はいただけないわ…
1つしか違わない姉に対する、この過度な姉弟愛…
小学生の頃はまだ慶次も小さかったから、可愛くて甘やかした記憶はある
けど!
中学生になったら突然急成長しちゃって…1つ上の私なんてすぐ追い抜いた
「鈴姉!うしろっ!!」
「うし…」
振り向いたらベランダに人がいた
ゆるゆるとこちらに手を振っている
「…あいつ、知り合い?」
「知らないわよ…」
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